【報告】2/28「選択できる生活を組み立てる」
講師:中村文子氏(NPO法人若駒ライフサポート理事、知的自閉症の成人された兄妹の母親)
林延康氏(NPO法人東京都自閉症協会会員、高機能自閉症の成人された息子さんの父親)
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今年度最終回の講座は、「選択できる生活を組み立てる」という、いささか抽象的なテーマでおこないました。
前半は、講師おふたりにそれぞれ、おもにお子さんについて話していただきました。
後半は、参加者からの質問に答えていただきました。
心に訴えるエピソードが満載でした。
ごくごく一部をここにご紹介させていただきます。
※お話ししていただいた内容の一部を筆者なりにまとめさせていただきました。文責は筆者にあります。
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中村さん:
子どもふたりはタイプがまったくちがっていて、上の子の方法が下には通じず、本当に勉強させてもらった。
いろいろ経験させ、失敗もあるが、人間としてはあたりまえで、失敗もふくめてよかったと思っている。
それぞれ成人しいちおう落ち着いているが、状況が変わっても対処できるように、自分なりに準備している。
「親御さんはどうしても趣味というと形や結果がみえるものをイメージしがちだけど、上手になることと夢中になることはべつ。
上手だけど横にだれかいて出来ることは本人は好きじゃないかもしれない。
だれにも干渉されずに没頭できるものが、本来、本人が一番好きなことではないか。」
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林さん:
息子に『一日一声運動』と称して声かけしていた時期があったが本人にはうっとおしいだけだった。
自分のなかの「不安」をエンジンにして本人を変えようとすると、ますます状況は悪くなる。
そのためには親が似た立場の親の集まりなどに定期的にでる(←「心の人工透析」と例えられていました)。
そうして気持ちの安定を図っているうちに、息子は自分で職を見つけてきた。
帰宅時は昼夜逆転になるが、仕事の前日は生活リズムをもどすなど自分で調整している
先日は「扶養を切ってくれ」と言ってきた。
親ができることは、「つなぐ」「待つ」「ちょうど良い距離にいる」。
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参加者からの感想の一部
「不安に押しつぶされることもありますが、講師の方が実体験として多くのことを乗り越えて、物事を前向きにとらえてお子さんと向き合っている姿にパワーをいただきました」
「父親目線の話、母親目線の話、お互いの違いが聞けてよかった。このおふたりがご両親のようなお子さんだったら幸せですね」
「質問に対する答えが深くて内容が濃かったと思います」
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最後を締めくくる回としてふさわしい、心温まる内容でした。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
今年度のこの連続講座に助成してくださった一般財団法人ゆうちょ財団のみなさまにも深く御礼申し上げます。